小さな酒蔵未来経営研究会

酒造りの産業化“江戸時代”

 江戸時代は、酒造りが産業として発達し、近代の酒造りの礎となる技術の確立や制度の普及が図られる時代となりました。
 技術面では、冬期のみに酒造りを行う「寒造り」が始まり、殺菌方法の1つである「火入れ」が一般化しました。更には、醪を安全に発酵させるために「三段仕込み」の方法や「アルコール添加」によって醪を腐りにくくする方法も開発されました。
 そして、それまでは庶民のお酒の大部分は、「濁酒(どぶろく)」でしたが、醪を濾して済んだ状態にした「清酒」が台頭し始めたのもこの時代です。
 制度面では、いわゆる「杜氏制度」が確立し、岩手県の南部杜氏、新潟県の越後杜氏、兵庫県の丹波杜氏が三大杜氏と呼ばれるようになりました。また、上方(今の関西地方)では酒の流通は酒蔵が兼ねていましたが、酒蔵が少なく、かつ大消費地であった江戸では、専門の酒問屋が誕生しました。主に灘(兵庫県)からやってくるお酒を「下り酒」と言い、それらを専門に扱う酒問屋を「下り酒問屋」と言いました。
 江戸時代に創業した酒蔵で今でも酒造りをしている酒蔵が全国各地に三百軒近くあるようです。

江戸時代の酒造絵図